暴走する原発政策に警鐘を乱打!
住民に根ざした運動を交流 原発銀座・福井県での全国集会に参加して
2月6日、「プルトニウム利用の危険と無謀な原発推進政策に反対する全国交流集会」が福井県敦賀市で開かれ、三重県からも私たち8人が参加しました。
たいへん印象的なのは、集会のなかでそれぞれ語られたことでしたが、その後半月余りのうちに、「無謀な原発政策」を告発する「事件」や運動が国民の前に展開されたことです。
第1に、集会のなかで動力炉・核燃料開発事業団(動燃)がこどもにプルトニウムを飲ませるPRビデオを作成していることと、そのお粗末きわまる安全認識が指摘されました。
翌日、「赤旗」新聞がこれをスクープ、続いて22日には、米エネルギー省長官が「プルトニウムの危険性を過小評価している」として回収を求める異例の手紙を動燃あてに送っていることを各紙が報道するに至りました。
この事件は、連立政権のプルトニウム大々的利用政策がいかに安全性を無視して行われているかを露呈したほんの一コマです。
重要なことは、同政権の「原子力白書」(昨年11月発表)が打ち出した「核燃料リサイクル」政策です。即ち、原発の使用済み核燃料を再処理して出るプルトニウムを「燃やしてしまえ。」として、高速増殖炉「もんじゅ」の臨界運転を強行(敦賀市・4月予定)、各地の原発でのMOX燃料(ウランとプルトニウムを混合)使用のなど、大々的な「利用計画」が推進されていることです。
1月29日付「中日新聞」は、「中部電力が99年めど浜岡原発でMOX燃料導入固める」と報道しました。これに対して中電側も「固まっていない」しながらも「今具体的計画を検討中」と否定していません(2月11日『中日』)。いま、政府、中部電力に対して危険きわまりないプルトニウム利用を中止するよう強く要求していく必要があります。
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第2に、いま、15基の原発が立地「原発銀座」と呼ばれる福井県では30年の体験から、「もうこれ以上原発は要らない」との声が県民大多数の声となり一人署名運動が起きていることです。
敦賀半島では原発の事故・故障が頻発、なかでも、放射能溶液たれながし・事故隠し(敦賀原発1号機・81年)、細管破断・炉心溶融寸前(美浜2号機・92年)などの重大事故は県民を恐怖のどん底におとしいれました。
ここへあらたに日本原電の敦賀3・4号機増設計画がもちこまれ、県民の強い反対の声があがっています。敦賀市では、昨年9〜10月に市議会へ向け「原発増設住民投票条例」制定の直接請求署名運動を展開、必要数の12倍以上1万2千人の有権者を結集しました。直接請求は合法されましたが、住民の強い盛り上がりに確信を得て、今度は、2月9日から2()万人を目標に、福井県知事宛の「これ以上原発はいらない県民署名」がスタートしました。
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第3に、2月10日、三重県の南島町民1500人が、芦浜原発阻止を掲げて、名古屋市まで出向き中部電力本社に抗議デモを行ったことです。集会では、手塚征男南島町議からこの計画について報告が行われ、全国からの参加各をおおいに激励しました。芦浜原発反対のたたかいは、政府・電力企業の無謀な原発推進政策に反対する全国の運動の先頭にたっているのです。
また、集会では、重大な欠陥をもつ原発がそなえの無いまま運転され、日本列島全体が危険にさらされている現実をリアルに直視し緊急時の対策を要求する運動を全国の自治体に向け展開する運動の重要性とそのとりくみについても交流しました。ことに、ヨウ素剤の配置、避難・誘導マニュアルの整備などが急がれます。(O)
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福井県の市町村当局の声
(93年12月福井県議会厚生警察常任委員会での発言)三方町長…これまで原発に協力してきたが原発が多くなるにつれ、福井県のイメージはダウンこそすれアップはしなかった。増設は将来に禍根を残すものと確信している。…子孫に何を残すのか真剣に考えてほしい。
越前町議会議長=74年生きてきた血の叫びを聞いてほしい。…絶対事故はないと原電は言った。しかし、たった1回の事故(敦賀1号)で壊滅的な打撃を受けた。対岸の原発の光を恐怖をもって毎日見ている。
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「原子力産業新聞」(93年9月23日付)は、江田科学技術庁長官の「初の青森訪問」を報じた。同氏は、自民党との懇談の席で「自民党のエネルギー政策を継承する、というと……『それみろ、自民党の政策は正しかっただろう』といわれると『まことにその通りです』といわざるを得ない」とあいさつ、さらに現地社会党との懇談では「推進側は推進、反対側は反対。あとは議論にならないのではだめではないか。…」と述べたという。
ここに、推進側に完全に吸収された江田氏の姿がクッキリ示されている。連立諸党は「冷戦が終わった、対立の時代から協調の時代だ。」などと宣伝し、自らが原発推進の立場に転換したことを合理化している。しかし、これはいつわりの宣伝だ。
第1に、アメリカの力の政策に「貢献」する自衛隊の海外派兵や、1機500億円もするAWACS(空中管制警戒線)の導入を要求される事態は「冷戦体制」そのものだ。第2に、原発の危険はいよいよ重大化しており、ましてや、芦浜原発設置は絶対認めることができない。「協調の時代」というが、原発推進への国民の批判、反対を抑さえつけ、がまんさせる議論にほかならない。
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ビラ配布する度仲間の増して来ぬ
現地も反原発のシールの増しぬ
野党の坂越え反原発のビラ配布
思い出したり三十年の経つ
絶景に声をあげたる思ひあり
今 反原発の声なお高く
村田統(芦浜原発反対小俣町の会会長)
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