東海事業所再処理施設アスファルト固化処理施設における火災・爆発事故について
平成9年8月
動力炉・核燃料開発事業団
目次
4今後の進め方
(1)火災の発生
@3月11日10時06分頃、施設のアスファルト充てん室において、火災が発生。水噴霧にて消火を行いました。
1分程度後室内に火が見えなくなったので火が消えていると認識し、水噴霧をやめました。
また、1O時32分頃、現場指揮所の指示により、作業員は施設外に退避しました。
Aこの火災により、放射性物質が建屋内に拡散し、放射線のレベルの上昇が認められました。また、排気モニターで、一部の測定値にわずかな上昇が見られました。なお、周辺の環境モニタリングの結果には異常はありませんでした。
(2)爆発の発生
@3月11日20時04分頃、火災のおきた施設で爆発が発生しました。これにより、建屋の窓、扉等が破損し、煙が出ていることが認められました。
A排気筒における放射性物質の濃度測定では、一時的に上昇しましたが、その後、平衝状態になりました。
敷地内のモニタリングポストの一部において、20時40分頃から放射線測定値のわずかな上昇がみられましたが、21時以降は平常の変動範囲内でした。また、敷地外にゃける放射線測定緒果等は通常の変動範囲内でした。
(3)従事者への影響
施設内及ぴ周辺の作業員について、全身測定を実旛した緒果、37名に微量な内部被ばくありましたがその量は最大のものでも胃のX線集団検診の1回分の20分の1以下でした。
動燃は、3月21日に火災・爆発事故の報告書(第一報)を科学技術庁、茨城県に提出しました。しかし、4月8日に報告書(第一報)に記載されていた「10時22分頃に操作区域から目視により消火していると認識した。」との事実はなかったことがわかり、直ちにこれを公表しました。
これをうけ、特別調査班を設置し、より詳細な調査を行った結果、虚偽に至った事実関係がわかりましたので、虚偽の報告に関与した者の人事異動を行いました。さらに、4月14日、事実関係を調査した結果の報告書を、科学技術庁、茨城県等に提出しました。
一方、科学技術庁は、動燃の報告を受けて、原子炉等規制法に基づく立入調査を4月14日から15日にかけて行いました。
その結果、虚偽の報告に関与していた関係者と動燃は、原子炉等規制法違反の疑いで、茨城県警察本部に告発されました。その後、更に特別調査斑の事実関係調査において、火災華生後撮影した写真を廃棄したことや、爆発後の施設周辺飛散物の回収・清掃作業を行った事等が判明し、これを公表するとともに4月30日報告書の修正を行いました。
(1)環境モニタリングの実旋
事故の影響を確認するために、事故の起きた建物や東海事業所周辺の海や陸の環境を調べました。
海については、海水や海底の土の中、陸については、東海事業所の周辺や付近の井戸水、雨水、土、野菜、牛乳、空気等の中に含まれている放射性物質の濃度を測定しました。
その結果、環境への影響はありませんでしたが、それらをとりまとめ、6月3日の原子力安全委員会の中央評価専門部会に報告しました。
(2)施設の応急措置火災
爆発で壊れた建物の窓やシャッター等は塞ぎ、まわりの地面の清掃や建物の屋上や壁の除染を終えてきれいにしました。アスファルト充てん室の中については、事故後、燃えやすいガスの測定やアスファルト入りドラム旨の温度測定を続けてきました。
その結果、燃えやすいガスは発生しておらず、ドラム缶の温度も室温程度で安定しており、再び火災・爆発の起きないことを確かめました。
施設に仮設の換気設備を設け、4月4日に運転を始めたことにより、建物の中の空気は事故前と同様に、高性能フィルターを通して排気筒から出せるようになりました。また、5月15日からは、仮設換気設備により二系統換気の調整運転を開始し、安全穫保の設置を講じています。
今後は、安全通路、作業区域の確保、安全管理設備等の復旧を行っていきます。
(1)原因究明
動燃は、理事長直轄の「アスファルト固化処理旛設火災・爆発事故原因究明・再発防止対策班」(「対策班」)を設けました。この対策班には、外部の学識経験者の方々にもアドバイザーとして加わっていただいています。
一方、国では、「東海再処理施設アスファルト固化処理施設における火災爆発事故調査委員会」(「事故調査委員会」)によって事故調査が行われています。この事故調査委員会は公開で行われています。
これらの委員会において徹底した議論を通して原因の究明を行い、今後の対策に反映させていきます。
(2)安全一斉点検
今回の事故を踏え、全社一斉に施設の安全点検を行いました。
今回は特に火災爆発の発生防止・早期検知・通報連絡体制・情報処理体制などの点検を実施しました。
特に通報連絡については、事故等が発生した場合いかに迅速かつ正確に情報を各機関へ伝えるかが重要です。この点の改善を図るために、事業所として5月より管理職3名による当直制を敷き、休日や夜間の通報連絡の迅速化に取り組んでいます。二度とご迷惑、不安をかけない様、十分な点検を行い、不備な点を改善し、安全確保に全力を上げて参ります。
(3)経営改革
科学技術庁において、動燃の体質及び組織・体制について、徹底的に第三者によるチェックを行い抜本的な改革を図るため「動燃改革検討委員会」が設置され、8月1日に近岡大臣よりその報告書を受け取りました。この報告書を受け、動燃は新法人の発足準備を行うため科学技術庁に設置された作業部会への協力、及び新法人に移行する間、事業団が自ら取り組むべき改革を進めるため理事長直轄の「経営改革実施推進本部」を設置しました。
動燃は自らの改革に、全社を挙げて取り組んでまいります。