「げんぱつ」原発住民運動情報より転載(103号、97/10/25)

97年9月の事故

出力検出器の先端部が原子炉内に脱落

 

動燃・「ふげん」

 動力炉・核燃料開発事業団(動燃)は九月二日、福井県敦賀市に設置した新型転換炉「ふげん」(ATR.16.5万kw)で、原子炉の出力を計測する機器(中性子測定)の先端部が脱落していたことが分かったと発表しました。

 動燃によると、「ふげん」は八月七日から定期検査を実施しており、同二十六日から、全部で十六体ある出力検出器集合体のうち八体の交換をおこなっていました。うち二体については二十六日に交換を終了しましたが、三体目と四件目は古いものを取り出したものの新しい集合体の挿入がうまくいかず、九月一日まで原因を調べていました。

 取り出した集合体を調べたところ、三体目の集合体の先端部約二十cmが脱落していたといいます。集合体の全長は約十材で、脱落した先端部の太さは約二cm。その後の調査で、四体目についても同様に、先端部が脱落。いずれも原子炉内に残っていることが確認されました。

 動燃は、いつ脱落したかは分からず、また、これまで原子炉出力の検出で異常は起きていなかったとしています。

屋外主変圧器付近から煙が噴き出す

伊方2号機

 愛媛県の四国電力・伊方2号機(PWR.56.6万kw)で九月五日午前十時三十八分ごろ、定期検査を実施中のところ、屋外主変圧器付近から煙が噴き出しているのをパトロール中の作業員が見つけ、消火器で七分後に消し止めました。

消防へは火が消えた後に通報、地元自治体への通報は同十一時八分(消火の二十三分後)でした。


 日本共産党愛媛県南予地区委員会は九月六日、同火災事故の問題で伊方原発にたいして緊急の申し入れをおこないました。

 申し入れは、同原発で定期検査の際などに事故がたびたび発生し、住民に不安を与えていると抗議。事故がくり返される原因を明らかにし、住民に納得がいく説明を要求しています。

復水器に海水漏れる異物で細管束損傷

伊方1号機

 四国電力・伊方1号機(PWR.56.6万kw)で九月二十四日午後回時二十七分、タービンを回した蒸気を水に戻す復水器の検塩計の電導度が異常に上昇し警報が鳴りました。同電力が調べたところ、復水器内に海水が漏れている可能性があるとして、出力を九〇%に落とし、事故のあった復水器の水を抜いて点検しました。

 同電力は九月二十九日、点検の結果、復水器内の細管一本に微小な傷があることを確認。貝などの異物が入り込んだことが細管損傷の原因とみて、当該細管および周辺細管をふくめ、合計九十七本を施栓し、漏えいがないことを確認した、と発表しました。

蒸気発生器の細管三十九本が損傷

玄海2号機

 九州電力は九月一日、玄海2号機(PWR.55.9万kw)の定期検査で、蒸気発生器の細管三十九本に異常があることがわかったと発表しました。

 佐賀県によると、定検で同細管の全数(既施栓管の三本を除く六千七百六十一本)について、渦電流探傷検査を実施した結果、三十九本の細管で管板内拡管部に有意な信号が見られた。

 原因は、製作時の拡管で生じた残留応力に運転時の圧力が加わったことによる応力腐食割れとみています。異常が認められた細管三十九本については施栓するとしています。