何が起きるか!この子の未来…

チェルノブイリの子らを迎えて

 

チェルノブイリ原発事故による放射線障害で苦しむこどもをホームステェに迎えた紀勢町の医師・小関辰夫さんにその時の状況について寄稿していただきました。

 

 「ジュノーの会」の招きで来日。広島で検診を受けた後、12月5日、新宮に着いたチェルノブイリの子供達5人の中、筋腫術後で貧血が出はじめた女教師1名と甲状腺腫で全身倦怠感の強い女性徒1名を除きジュシコ先生に引率されセルゲイ君(14歳)アンドレイ君(10歳)の両君が山本通訳と共にホームスティに小生宅に見えた。

 当日午前中直ちに錦中学校の参観、生徒代表との交流、午後は紀勢町長への表敬訪間、相次いで小関医院主催の公民館での小中学生との交流集会と息つく暇もない過密なスケジュールで主催者としてはずいぶん気を揉んだものです。

 1時間の休憩の後、当院職員との交流夕食パーティ。看護婦に貰った3色ボールペンを喜びトラックを描いてTOYOTAの社名を入れる。ポラロイドカメラをいじくり廻し、シャッターを押して喜ぷ。日本の子と一見変わるところはない。

 広島よりカルテが送付されてきている。末梢血にも肝機能にも確実に異常値が出現しはじめて来ている。アンドレイ君は疲れやすいのか、すぐ横になる。疲れると食欲がすぐに落ちるという。この子等の未来に何が起こるのか、予測するだに恐ろしい。

 一泊のホームスティだったが、看護婦さん等に見送られて自動車に乗り込む両君がスーパーで買い求めたカップヌードル3つを大事そうに網袋にさげて帰っていったのが印象的だった。紙面の了りにセルゲイ君の自己紹介文の一部を記載しておこう。「チェルノブイリ原発事故までは、よく両親と一縄にキノコやイチゴを探しに森へ行っていました。今ではキノコやイチゴの中には、許容基準の10〜15倍を越えるとても沢山の核種の放射能が含まれているので、決してキノコやイチゴをとってはいけないので残念です。僕たちの村は第3地帯にあり、沢山の人々が村から出ていくので、学校には生徒が少なく、それぞれの学年では、8〜12人ずつの生徒しかいません」

 汚染はまだ始まったばかりなのです。

(小関)

俳句

南島につづく鰤(ぷり)海 眼下にす

中電へ 反原発の春の涛

岩見雅風(海山町在住)