十月の事故
川内一号機
九州電力は定期検査中の川内一号機(PWR,89万kw)で十月二十七日、原子炉容盤上部の制御棒駆動装置のステンレスカバーにホウ酸の結晶が見つかったと発表しました。
同二十七日午前九時二十分ごろ、パトロール中の職員が駆動装置部に白い粉末がついているのを発見。一度ふき取った後、同十時すぎに再度同じ個所に粉末の付着を確認しました。
ホウ酸は、核分裂を促進する中性子を吸収する性質があり、原子炉の出力をコントロールするため一次冷却水に添加されているもの。ホウ酸粉末の付着は一次冷却水の漏れと水分の蒸発を示すものです。
同電力によると、四十八本中ある制御棒駆動装置のうち一本の原子炉中心付近の上ぷたから二m離れた個所−キャノピシールの溶接部近くに、液体浸透探傷検査で損傷が見つかったとしています。
同種トラブルは関電・美浜3号機などでも起こっており、応力腐食割れとみられています。
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敦賀一号機
日本原子力発電の敦賀一号機(BWR,35.7万kw)で十月四日、三台ある再循環ポンプのうち一台から冷却水漏れが認められたため、原子炉を手動停止しました。
同機は八月二日にも、別の再循環ポンプで同様の冷却水桶れを起こし、原子炉を停止しています。
同社は十月十四日、原因は再循環ボンブの水漏れを防ぐ軸封部に微小なさぴなどの異物が混入して回転面が傷つき、通常より冷却水の漏えい量が増えたためと発表しました。再循環ポンブは原子炉内の冷却水をかき混せて、出力を調整するBWRの心臓部。トラブルの続発は重大です。
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福島第二=ー号機
東京電力・福島第一=1号機(BWR,46万kw)で十月二十三日午後二時半ごろ、ターピン建屋地下室でボヤが発生し、現場にいた作業員数人が消火器で約三分後に消し止めました。
東電福島事務所などによると、一次冷却水を加熱する給水加熱器の取り換え工事中、ガス溶接の火花て、作業に使っていたビニールシートが燃えたという。
同原発では六月にも同4号機でボヤがあったばかりです。運転開始から十件も発生しており、大災害への危険をはらんでいます。
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原研JRR3
日本原子力研究所のJRR13(軽水減速・冷却・重水反射件付プ一ル型炉、熱出カニ十万kw)で十月五日、冷中性子源装置真空断熱槽の真空度が低下、原子炉を手動停止しました。原因は、配管接続部のOリングの損傷でした。
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浜岡原発に備えなし
「安全」宣伝くり返す
無責任な中部電力回答
センター側は冒頭、今回の公開質問状は昨年一月の兵庫県南部地震により浜岡原発の耐震安全性に疑問が生じたため、その回答を求めてきたのに、なぜ一年四カ月もかかったのか、その理由をただしました。
東京支社は、公間質問状にたいして「本社は、すべて対応済みといっている」とくり返だけで、交渉に応じようとしませんてした。
ところが、当日江本課長らは「本社にきていただければいっても応じると伝えてきたはず」と釈明。支社の対応とのくい違いを示しました。
当センターが、ねばり強く回答を要求してきたことが、同社の対応を変えたといえるでしょう。すじを通し、けっしてあきらめない住民監視の役割が力を発揮しました。
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中部電力広報室の江本課長は、兵庫県南部地震における神戸大字の地雷計の記録は「そもそも岩盤上の地震動ではない」として、浜岡原発の耐震安全性は問題ないとくり返しました。
センター側は「国の『耐霞設計指針類』の『妥当』報告は根拠はないが、中電の書い分は別の意味で、この『妥当』報告を全否定するものだが本心か?」とただしました。国の「妥当」報告は、いろいろ保留条件をつけながらも、神戸大学の記録を基本的には岩盤上の地震動と見て、兵庫県南部地霞の地震動と比較検討しているからです。
中電の言い分は、浜岡原発の耐震安全に問題がないことを強調するあまり、国の報告の基礎まで否定する「ひいきの引き倒し」論理をなりふり構わず、展開したものでした。
中電側は「神戸大字地震計設置場所に埋め戻し層や風化岩盤があり、地震動が増幅した」といいながら、それを裏づける資料を示すことはできませんでした。
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センター側は、浜岡原発が「プレート型地震」の東海地震の震源域の直上にありながら、このことに頬被りして、「原発は活断層の上にはつくらない」と宣伝するのは、国民を欺瞞するものだときぴしく追及しました。
中電側は「いわれる趣旨はわかる」と答えざるをえませんでした。
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東海地震時における1・2号機の機器冷却用海水導管を支持する砂地盤の液状化対策として、3号機の海水洗砂地から1・2号機に岩盤に連携トンネルを掘って繋いたにもかかわらず、市電側は、「1・2号機の導管の保守点検時に使うため」として液状化対策を否定。「それなら3・4号機も、他の原発でも連携トンネルが必要になる」の質問に回答できませんでした。これは、3号機の「安全審査」時に中部電力が原子力安全委員会に「液状化はない」と評価させしまった結果、実際は液状化対策でありながら、いまさら液状化対策とはいえなくなっている事情があるからです。
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この日の交渉は、当センターが創立以来、浜岡原発を日本の原発の危険の象徴として、一貫してその耐震安全性を追及してきたことから、二時間半を超える徹底究明の場となりました。
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