特別報告
「原発の危険に反対する緊急要求で共同を」(レジメ)角田道生(埼玉大学)
1、原発の危険に対する各地の取り組みが、情勢をここまで変えた
『安全犠牲の目に見えるコストダウンの超大型炉=東海3・4号機の増設反対
1)原発の危険に反対する各地の取組みが、情勢をここまで変えた
◆総理大臣への原発密集三県知事の提言(1996/01/23)。「国民の理解と納得が十分でない状況にあっては、これまで原子力政策・エネルキー政策に大きく貢献し、現在も核燃科リサイクル計画から派生する様々な国策上の諸同題に直面している原子力関係自治体においても、今後住民の理解と協力を得ることができず…」、「必要な場合には次の改定時期にこだわることなく原子力長期計画を見画すこと。また核燃科リサイクルについて改めて国民の合意形成が図られる場合には、プルサーマル計画やパックエンド対策の将来的な全体像を、これらから派生する諸問題も含めて具体的に明確にし、関係地方自治体に提示すること」(アンダーラインは筆者)。
◆新潟県巻町の住民投票。「原発PR合戦、資力で大差。テレビCMなど億単位と新聞折り込み200万円」(朝日新聞96/07/18)。
◆住民勝利の影響は全国原発立地点へ(産業廃棄物計画にも)。
2)以下にのべる諸課題で、これまでの原発観の違いを越える各地の共同、具体的な追及を発展させることができれば、全国に運動し、国の開発政策を根本的に変えさせる力となる。
◆高速増殖炉、新型転換炉の破綻で、資源的にも経済的にもメリットの無いプルトニウム軽水炉利用を強引に推進。「2000年までに3〜4基で開始、2010年頃には全部の電力会社で10数基程度に拡大」(97/01/3原子力委決定)。
◆超ウラン放射能内臓量の増加、大型炉心の核的不安定性、MOX燃料再処理の危険性など、技術的に未成熟なものを超大型商業原発に趣み込む無謀さ。
◆「原発誘致には賛成したが、プルサーマルには反対」(柏崎の声)。
◆「合理化」と事故。
◆運転コストの「合理化」…連続運転期間の延長(高燃焼度燃料化)と定検期間の短縮(福島第二・3号機47日定検達成、45日目標へ)。
◆建設コストの「合理化」…
A-BWR、A-PWRのAとは。◆柏崎刈羽5号機(110万k
w)→6・7号擦(135万kw)→東海3・4号機(150万kw)。◆20%、40%のコストダウンを競い、動燃方式の発注形式をめぎす。
◆安全性に帰結する技術的同題(炉心涜量の把握など)がすでに発生(柏埼6号機)。
◆東海原発は、耐震設計の弱点が指摘され全面的に設計変更が行われた歴史がある。しかしこの時は、学術会議と政府・電力会社の論争が主で住民運動の影響が弱かった。
◆今は、現行の耐震設計審査指針でよしとする政府「検討委員会報告」の幕引を許さず、各地の住民団体から鋭い耐震設計見直し要求がなされ、政府、電力会社は対応に苦慮している(浜岡原発をめぐる政府、中電の対応…報告書の想定地震と各地原発の想定地震の妥当佳、報告書自体が認める想定を上回る揺れの大きさ)。
◆所在地周辺の地質・地震研究者と共同による安全審査における地震想定の根拠の追及(伊方原発と中央構造線、東海原発と新敷地地盤、考虜されなかった活断など)、
◆兵庫県南部地震後の知見を国の指針に反映させる追及。
◆住民の要求により原発10キロメートル圏外におけるヨウ素剤の常備が進む(福井県武生市、今立町、池田町、朝日町、新潟県小国町など)。
◆「もんじゅ」事故以後、政府も防災対策の見直しを無視できず(立地自治体ヒアリング。ヨウ素・希ガスだけでなくセシウム・ストロンチウムも対象にするなど)。
◆国、電力会社は、過酷事故にっいては原子炉マネージメントだけで、住民対策を全く考えていない(欧米との違い)。
◆他の災害と違い、経験的知識が役立てない→予行演習の必要。
◆防災演習の立案と実施における住民参加の不可欠性。
◆「ゴネ得」という問題ではない。原子力増設による地場産業の破壊である。
◆行政処分にもとづく被書だけが補償対象ということでは、緊急時の政府・自治体の対応に影響がでる。(スリーマイル原発事故にたいするペンシルバニア州知事の避難勧告問題。動燃火災事故における下請け労働者の消火活動のためらい)。
◆損害保険契約時と安全協定締結時の当事者の関与。
3)まとめ