申し入れ
知事におかれては、3月県議会で全会一致採択された「『芦浜原発建設計画の冷却期間をもうけ早期決着』を求める請願書」にもとづき、実効ある施策をすすめていただきたく、左記の通り申し入れます。
もともと請願書は、南島町長が「南島町の34年間の永きにわたる苦悩の歴史で、人間相互間の不信感を募らせ地域破壊を呈し肝心の地域社会が今なお深刻な状況を続けている実態を理解いただき」と訴え「請願項目」の第3項で県が「芦浜原子力発電所置問題についての実情調査を独自に行い、その結果を開示して示して地域振興に活用すると共に、本問題を早期に決着させること」求めていました。北川知事も「冷却期間中、現地に担当する職実情調査する」(6月県議会答弁)と述べていました。
ところが、県当局が学者五人の構成で設置し、9月16日第1回会合を開いた『県エネルギー問題調査会」の役割について県当局は「原発を含むエネルギー問題全般について議論、勉強する場」とし、「芦浜原発の是非の議論はしない」と述ぺています。これでは芦浜原発問題がひきおこした「苦悩」の実情調査を求めた請願の趣旨から逸脱したものになっています。地元住民も「人権侵害や地域の混乱の話がない」と指摘しています。しかも、エネルギー問題調査会」は、その費用が、原発立地を促進するために政府から県に交付される「広報・安全対策交付金」(97年度初当予算額1、800万円)でまかなわれ、「原子力発電に関する知識の普及、当該当地域の住民の安全性に関して行われる連絡調整に関する事業」(交付金交付規則)として「水力」「火力」「原子力」「自然エネルギー」のエネルギー構成を紹介し、原発立地の必要性を県民に印象づける宣伝を行ってきました。表向きは「エネルギー問題の勉強」でも、本音は原発立地であり、協力しない住民を「井の中の蛙」(田中知事=当時)とさえ非難しました。
今回、「エネルギー問題調査会は中立の立場で」と説明しても、原発立地を目的とした「広報・安全対策事業」の枠内のものにならざるをえず、県民がのぞむものではありません。
原発反対三重県民会議は「冷却期間」の設置を求めた請願の本旨にたって芦浜原発立地活動のもとで起きた、反対住民への人権侵害、住民の分断、地域社会との町政の混乱、地域振興の遅れなどについて、第一義的に実情を調査し調査するよう要望します。深刻な被害は、県当局も加わった原発立地活動によって引き起こされたものであり、厳正な調査を希望します。
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国、県の芦浜原発立地関連の補助金、交付金の対象となる八町村へ県民会議が9月上旬に行ったアンケートの回答によれば、「(国・県からの)働きかけの有無に関わらず補助金・交付金を要望する」とした町村は一つもなく、「町村から補助金・交付金を要望するつもりはない」と回答したのは、半数の4町村(南島町、大宮町、度会町、宮川村)にのぽっています。
いっぽう、国側(道産省資源エネルギー庁)は、「冷却期間を尊重する」「芦浜原発関連予算は地元の意向に沿い県に押しつけない」と述べています(7月22目、日本共産党の政府交渉)。
こういう中で県当局だけが原発立地予算の温存をはかっています。[エネルギー問題調査会」の設置を口実に「広報・安全対策交付金」を充てています。来年度も同様になるのではありませんか。
原発反対県民会議は県当局自らが「冷却期間」を実行し、今年度の原発関連予算の未執行分はただちに凍結し1998年度予算編成にあたっては原発立地予算を一切計上しないことを要求します。さらに町村の来年度予算編成は自主性を尊重し、原発立地関連補助金・交付金の受け入れを求めないよう要望します。
1997年9月30日
三重県知事
北川正恭様
原発反対三重県民会議
会長 神阪博通(三重大学教授)
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