「げんぱつ」原発住民運動情報より転載(103号、97/10/25)

地球温暖化防止京都会議へ

議長国日本に、内外から批判

原発大増設でCO減らす?

 「気候変動枠組み条約」の第3回締約国会議(気球温暖化防止京都会議=COP3)が12月、京都で開かれ、2000年以降の各国の二酸化炭素(CO)削減目標を決めます。議長国の日本は10月6日「数値目標に関する日本政府案」として1990年水準に比べてCOを5%削減するため、原発の20基増設構想などを含む提案を発表、内外からきびしい批判を受けています。

C020%削減の必要が世界の世論

地球の平均温度は過去100年間に約0.5度上昇しています。C0を主とする温室効果ガスの増加のためです。現状のまま推移すれば、21世紀の半ばまでに地球の平均気温は2〜3度上昇し、その結果、海面が30〜50cm上昇して、小さな島国や多くの沿岸地帯が水没すると予測されています。温暖化がすすめば洪水や干ばつがひんぱんに起き、生態系への重大な影響が予想されます。

 ところが、日本政府案は温室効果ガスを90年度比5%削減をいいながら各国の事情に応じて目標に「差異化」を認め、事実上、削減率ゼロにもなりうるというしろもの。この案は、世界最大の温室効果ガス排出国である米国の顔色をうかがって決めたものです。

 世界の2、500人の科学者で組織された国連の研究チーム「気候変動に関する政府間パネル」(IPCC)が95年に発表した第二次報告は、大気中の二酸化炭素濃度を現状レベルで安定させるには、排出量を50〜70%削減することが必要であると指摘しています。

 欧州連合=EUは、C0の削減目標を90年度比15%を主張。英国のパトリック・グリーン博士は、怒りというよりあきれたという口調で、「多くの科学者の間では20%が一致した目標。日本政府案は、目標として意味がない。日本は議題の重大さを理解できないとしか考えられず、議長国としての資格がない」と批判しています。

原発2倍以上増設原発事故の危険無視

 通産省は、9月26日に開かれた地球温暖化問題の関係審議会第2回合同会議において、「産業部門の今後の省エネルギー対策のあり方」を発表。「原発による発電量を、90度実績の3、165万kwから目標となる2010年度には7,050万kwと、2倍以上に引き上げることを前提に、2010年度の産業部門のC0排出量を、90年度レベルから7%削減することが可能」という削減案を示しました。

 12月の京都会議では、原発の増設でC0を減らすことなどまったく論議の対象になっていません。

 ところが、日本の政府・原子力業界は、この京都会議に何とかして原発を持ち込もうと、国際会議や国際シンポジウムを計画しています。原発事故を無視した温暖化対策などは日本の異常さだけを示すものです。