1997年10月4日  於:サンワーク津

原発反対三重県民会議
97年総会への報告と提案

目次

1,原発問題をめぐる住民運動の前進

2,芦浜立地「冷却期間」入りにともなう私たちの主張

3,芦浜原発および原発の危険に反対する共同スローガン

4,年間運動計画

.原発問題をめぐる住民運動の前進

「一歩も進めない手詰まりだ」(中電)…強固な反対運動と世論の広がりが芦浜立地「冷却」・手直しへ

 芦浜原発立地活動は1999年末まで「冷却期間」に入りました。これまでの立地活動が破綻し、中部電力と県当局は手直しを余儀なくされています。この34年、中電、政府、県が膨大な宣伝、カネと権力、工作員などを総動員しましたが、強固な反対運動と県民世論をつぶすことができませんでした。つぶすどころか、現地の住民運動は不屈にたたかい、これと連帯する反対運動が各地にひろがり、県史空前の芦浜原発反対81万人署名が県議会を動かしたこと、原発反対を掲げる自治体の形成(南島町、紀伊長島町など)、原発立地住民投票条例の制定(南島町、紀勢町)など、民主主義と地方自治が大きく前進し、推進勢力にとっては大きな障壁となって立ちはだかっています。

 ここに芦浜原発反対運動の到達点があるのではないでしょうか。県民会議と参加団体も節目での見解発表や申し入れ、講演会・交流会開催、調査・宣伝・署名運動に取り組むなど、県民の共同をひろげるために奮闘してきました。総選挙、東京都議選で日本共産党が大きく躍進しました。

 原発の危険から国民を守る政治勢力が国会でも地方議会でもさらに大きくなり、無謀な原発推進政策を転換させることが期待されます。

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ゆきづまった日本の原子力政策

プルトニウム利用、原発の新増設など世界でも突出した日本の無謀な原子力政策はいよいよゆきづまっています。マスコミも「原子力を取り巻く逆風の強まりが、全国的にかつてないレベルに達している」(中日7月9日)と書き、相次ぐ動燃事故への国民の批判、住民投票による東北電力巻原発凍結(昨年8月)、九州電力の串間原発計画白紙撤回(今年3月)に続く芦浜原発立地の「冷却期間」入りを「反原発のうねりを加速」するものと紹介しました(中日、同)。

 外国紙も「最近の核施設の運営面での不手際、相次ぐ事故で世論は反対へと動きつつある」(ワシントンポスト8月28日)、「日本のプルトニウム(利用)への夢は、住民の不信感、技術上の問題、予期され得る予算削減でかってないほどの危機に直面」(ロサンゼルスタイムズ6月28日)、「安価で大量のエネルギーを核で得ようとする日本の考えは、欧米ではすでに錯覚に過ざないとみなされている」(ニューヨークタイムズ8月28日)と報道しています(読売9月2日『ジャパンウオッチ』棚による)。

 中電の委託による中部地方を対象にした世論調査によっても、「原発の建設推進」について賛成が前年の40.8%から21.2%に半減し、「原発の必要性」について肯定かが前年60.1%から46.1%へと大きく減少しています。この調査は、昨年8月時点であり、その後の動燃事故の続発を考慮すればいっそう厳しい結果であると言います。(中日5月16日)。

 こんなにゆきづまった原子力政策にたいして政府は小手先の対応に終始しています。動燃の「改革」なるものも、動燃の名前を変えるだけで、高速増殖炉と核燃料サイクル、高レベル廃棄物の処理処分は規定方針通りすすめようとしています。

 県当局は、かって芦浜原発に反対する住民を「井の中の蛙(かわず)」(故・田川前知事)よぱわりし、「原発を勉強せよ」といいましたが、現在もなお、ゆきづまった原発推進路線に固執しています。

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新潟県巻町の住民投票の勝利の教訓…全住民を対象に

 昨年8月、新潟県巻町で行われた住民投票は、9割にせまる投票率となり、しかも大差で有権者の絶対過半数を超えて勝利しました。この勝利は、従来の「巻原発」の「地元同意」(町議会の『誘致決議』、町長・知事の『地元同意』)を事実上撤回させました。この運動の構えや教訓の核心を学ぶことは、私たちにとっても大切なことと思われるので、紹介します。

 最大の教訓は、住民投票運動を全町民を対象にすすめる構えを最後まで貫いたことであろう。町民のなかには「原発そのものは必要」という考えの人びともいれば、「原発反対」の人びともいる。全町民を対象とする運動とは、この両者をも対象とすることであるが、この点で二つの事例が教訓的であった。

 一つは「住民投票を実行する会」が、原発の賛否の意見の違いを超えて、「巻原発立地という町民にとっての大間題は住民投票で決める」の一点の要求で団結して活動したことである。

 二つは「巻原発反対町民会議」が「老原発立地反対」の一点の要求で「原発賛成」の人びととも、「原発反対」の人びととも、団結して活動したことである。「原発は必要」という考えの人びとを相手に「原発の危険」や「地方自治」などを縦横に語り合い、これを通して、「巻原発立地反対」を説得する。この構えと活動が町民の共感をよんだ。「原発賛成」の人びとを運動から排除するセクト的立場におちいらない配慮がなされた。全国の原発所在地の人びとが「原発の危険」の縦横な「語り部」として支援に入り、「原発の町」の実態をリアルに伝えた。これが町民に大きな影響をあたえた。当全国センターとして、巻町民と連帯して、こうした共同行動を展開しえたことは、大きな誇りであり、喜びであった。

 運動の当初は、「『原発反対』の方がわかりがいい。『原発の危険』なんてわかりにくい」との声もあったり、『原発反対」に固執するあまり、議論が「空中戦」になり、「原発賛成」の人びとを蹴散らしかねない状況もみられたりしたが、全町民を対象とする運動がこれを克服した。

(原発間題住民運動全国連絡センター筆頭代表委員・藤巻泰男氏/『地震と原子力発電所』より)

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2.芦浜立地「冷却期間」入りにともなう私たちの主張

実情調査と「県エネルギー間題調査会」について

 もともと、3月県議会に南島町長から提出され全会一致採択された「『芦浜原発建設計画の冷却期間をもうけ早期決着』を求める請願書」は、「南島町の34年間の永きにわたる苦悩の歴史で、人間相互間の不信感を募らせ、地域破壊を呈し、肝心の地域社会が今なお深刻な状況を続けている実態を理解いただき」と訴え、「請願項目」の第3項で、県が「芦浜原子力発電所設置問題についての実情調査を独自に行い、その結果を開示して地域振興策に活用すると共に、本間題を早期に決着させること」を求めていました。北川知事も「冷却期間中、現地に担当の職員を派遣し、実情調査する」(6月県議会答弁)と述べていました。

ところが、県当局が学者5人の構成で設置し、8月工6日第1回会合を開いた「県エネルギー間題調査会」の役割について県当局は、「原発を含むエネルギー問題全般について議論、勉強する場」とし、「芦浜原発の是非の議論はしな願い」と述べています。これでは芦浜原発問題がひきおこした「苦悩」の実情調査を求めた請願の趣旨に添ったものにはなりません。

 県民会議は、県の「調査会」が採択された請願の本旨にたった運営と委員構成にし、芦浜原発計画推進のもとで起きた、反対住民への人権信書、住民の分断、地域社会と町政の混乱、地域振興の遅れなどについて、その実情を調査し、開示するよう要求します。「調査会」が「第三者機関」を名乗るなら真っ先に実行すべきです。

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原発立地関連予算について

国、県の芦浜原発立地開運の補助金・交付金の対象となる8町村へ県民会議が9月に行ったアンケートの回答によれば、「(国・県からの)働きかけの有無に関わらず補助金・交付金を要望する」とした町村は一つもなく、「町村から補助金・交付金を要望するつもりはない」と回答したのは、半数のく町村(南島町、大宮町、度会町、宮川村)にのぼっています。

 いっぽう、国側(通産省資源エネルギー庁)は、「冷却期間を尊重する」「芦浜原発開運予算は地元の意向に沿い、県に押しつけない」と述ぺています(7月22目、日本共産党の政府交渉)。

 来年度の原発立地関連予算は、県当局の姿勢次第であることはここに明らかです。県民会議は、県当局自らが「冷却期間」を実行し、1998年度予算編成にあたっては原発関連予算を一切計上しないこと、さらに97年度の原発関連予算の未執行分についてはただちに凍結するよう要求します。

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3.芦浜発および原発の危険に反対する共同スローガン

○芦浜原発立地計画の白紙撤回。海山町など熊野灘沿岸への原発立地反対。

○芦浜原発推進予算を計上するな。97年度未執行分は凍結せよ。

○県議会で採択された請願にもとづき芦浜原発推進による地元住民の苦悩と人権侵害、地域・行政の混乱の実情調査を行え。

○動燃事故の第三者機関による徹底究明と原子力政策の抜本的見直しを行え。

○安全犠牲、コストダウンによる超大型原発の新増設反対。プルトニウム利用の「プルサーマル計画」反対。

○浜岡をはじめ原発の耐震安全性の総点検を実施せよ。

○原子力災害対策を確立せよ。

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4.年間運動計画

1、増勢、局面の節目で見解、提言を発表、共同行動を広くよびかけます。

  当面、芦浜原発推進による地域被害の実情調査、原発推進予算を計上しないよう要求する申し入れ活動を行います。

2、現地住民、広範な団体・個人・全国各地の住民運動との交流・連帯を強めます。

  浜岡原発調査ツアー(98年2月頃)。

3、原発問題を考えるシンポジウムの開催(98年4月頃)。

4、全国センターの原発間題訪米調査(98年夏〜秋)に代表を送ります。派遣カンパヘの協力を広くよびかけます。

  調査目的=緊急時策、スリーマイル事故、原発住民投票など。

5、県民会議ニュースの定期発行、シンポジウムや調査活動の報告・資料集の発行、普及にとりくみます。

6、原発間題住民運動全国センター発行の機関紙「げんぱつ情報」の読者拡大をすすめます(月刊、購読料年間3000円)。

.全国センターの総会への参加(97年11月29日代表委員会・レセプション、30日総会)。

.月1回の定例の常任世話人・団体代表者会議を開催、情勢や活動の交流、共同行動の協議を行います。

9.会費収入(年間、団体1口3000円、個人1口1000円)と事業活動、カンパを強め、財政の確立をすすめます。

以上

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