「原発震災−破滅をさけるために」
『科学』(岩波書店〉10月号掲載論文
地震学者・石橋克彦・神戸大学教授
耐震指針は誤り
原発震災を警告
「これからの地震防災論や震災対策は、原発震災を抜きにしては考えられない」−。東海地震の襲来を警告し、『大地動乱の時代』の著者である地震学者の石橋克彦神戸大学教授が『科学』10月号(岩波書店)に「原発震災−破滅を避けるために」と題する論文を発表しています。
通産省は原発は「最大の地震を考慮した設計」をするとしていますが、実際の耐震設計では原発直下の地震は「M6.5」を超える地震はないとしていることを批判し「作業の根底をなす地震の想定が根本的に間違っており、したがってそれにもとづく地震動の評価と耐震設計はきわめて不十分」と指摘、通産省の考え方は「地震科学的に完全に誤っている」と断じています。
石橋氏は、その理由として、地下に大地震の発生源があっても地表に活断層として現れなかった福井地震などを紹介しながら、活断層がなくても直下の大地震は起こりうると警告。「東海地震と浜岡原発震災」では、「M8級東海地震の実態は、M7.5級の直下地震が複数連発するような現象になるかも知れない。浜岡での地震動の時刻歴や継続時間は、兵庫県南部地震の震度7の地点よりも複雑で長時間で、はるかに厳しいはずである」と想定していま
す。「地震時に浜岡は1m程度隆起すると考えられるが、それに伴って地盤が傾動・変形・破壊すれば原発は致命的だろう」、「来世紀半ばまでには確実に発生する巨大地震の震源域の中心に位置する浜岡原発は廃炉を目指すべきであり、まして増設を許すべきではない」と結論づけています。
用語の解説
原発の配管溶接とは
原発の配管熔接データ改ざんは沸騰水型軽水炉(BWR)14基、248個所という。配管熔接部は残留応力による応力腐食割れを防ぐために熱処理(焼き鈍し)が必要である。熱処理は溶接部に電気コイルを巻き付け、誘導熱で600〜700度Cに加熱、冷却する。熱処理熔接個所はBWR全体で建設時37,332個所、保守時7,487個所という。このうち82年頃から見栄えの悪い温度データが改ざんされた。熔接検査は当初は国がやっていたが、80年代初めの規制緩和で民間下請。発電設備技術協会が当たってきたが、長期に見抜けなかった。
編集後記
◆前号で当センターの情報紙「げんぱつ」の合本版第2集の刊行を紹介したところ、さっそく団体や個人から第1集と合わせ数件の申込みをいただきました。昭島市の新婦人の方は合本版で94年5月「第33回赤旗まつり」で当センターが「げんぱつ写真展」を開いたことを知り、パネルを借りにこられました
◆写真パネルは、94年以降のものが補充されておらず、事務局では、大慌てでパネルの補充について検討を始めました
◆いま事務局は「第11回全国総会・交流集会」と「創立10周年レセプション」の準備で大忙しです。この機会に10年間の歴史を振り返り、現在の到達点を薩かめ合う、楽しい交流の集いにしたいものです。