東海集会アピール

動燃事故に抗議し、目本の原子力政策の抜本的な見直しを求めて

 

 動力炉・核然料開発事業団(動燃)の97年3月の再処理工場の火災・爆発事故、95年12月の高遠増殖炉原型炉「もんじゅ」のナトリウム漏れ・火災事故は、目本の原子力政策の根幹を揺るがしています。それらは、目本の原子力政策の基軸であるプルトニウム利用を中心とする「核然料リサイクル政策」の再処理、高遠増殖の開発の推進のさなかに、しかも、それぞれの中核施設で起きた事故だからです。

 95年1月の兵庫県南部地震(M7.1)は、基本的な傭えを欠いたために、阪神・淡路大震災をもたらし、目本の原発の耐震性をはじめとする安全性が改めて根本から問われています

 こうしたなかで、私たちは、今日、ここに、「動燃事故と日本の原子カ政策を考える」全国抗議集会に集まりました。緊急要求として、「動燃事故の第三者機関による徹底究明と原子力開発政策の抜本的見直し」をメーンスローガンに、「安全犠牲に目に見えるコストダウンの超大型炉=東海3・4号機の増設反対」、「東海原発への『プルサーマル計画』に反対」、「東海原発の耐震安全性の総点検を実旛せよ」、「原子力災害対策の確立を」、「風評被害の補償を」をサブスローガンに掲げて、私たちは、この集会を開きました。集会参加者の共通の意思として、私たちはつぎの諸点を要求します。

 第一に、「もんじゅ」事故、再処理工場事故について、開発及び許認可・審査等に直接かかわりがない第三者機関による事故原因の徹底究明を重ねて強く要求します。

 これまでの調査は、開癸担当の動燃、第一次「安全審査」担当の科学技術庁、ダブルチェック担当の原子力安全委員会と、事故の発生に直接の責任を負う当事者同士の調査でしかなく、これでは、はじめから公正かつ客観的な調査は保障されず、事故の真相を解明することはできません。

 第三者機関による調査によってこそ、技術的側面をはじめとして、その聞発体制、「安全審査」・規制体制などを含む総合的かつ全面的な事故原因の徹底究明が可能となるのです。 第二に、プルトニウム利用を申心とする目本の原子力政策の抜本的見直し・安全優先への根本的転換を要求します。

 再処理事故、「もんじゅ」事故の事敬原因の調査があいまいにされている一方で、動燃改革検討委員会の報告に示されるように、ブルトニウム利用路線を中心とする従来の原子力政策を前提として、動燃の「衣替え」で事態の乗り切りが図られようとしています。断じて許されないことです。世界がプルトニウム利用を中心とする原子力政策、なかでも技術的困難、財政的困難から高速増殖炉開発から数退しているときに、「原子力平和利用の世界の牽引国としての役割を果たしていく一と豪語して、世界でも異常な推進をはかつているさなかに重大な事故が発生したのです。

 @「もんじゅ」、東海再処理工場の運転停止はもちろん、A青森県の核燃料サイクル施設の建設中止、B既設原発への「プルサーマル計画」の撤回などを含めて、プルトニウム利用を中心とする目本の原子力政策の抜本的見直しこそ急務です。使用済み核然料は、再処理せず、原発サイトに安全に保管することを要求します。貯蔵プールの増設などは、断じて認められません。

 第三に、既設原発について、耐震安全性の総点検の実施、原子力災害対策の確立を要求します。

 日本のすべての原発の耐震設計が兵庫県南部地震程度の地震動に耐えられない現状にたいして、きわめて深い憂慮を禁じえません。原子力安全委員会の「発電用原子炉施設に関する耐震設計審査指針」を「妥当」とする報告をはじめとする政府、電力業界の原発の「耐震安全」宣言はなんの根拠もなく、地震対策をサボる口実にすぎません。世界で有数の地震国・目本列島周辺の地震が本格的な活動期に入ったとされる今日、耐震安全性の総点検の実施は緊急の課題です。さらに科学的基準にもとづく全面的な総点検が不可欠です。

 日本の原発の過酷事故(シビアアクシデント)対策は、世界に大きな遅れをとり、しかも、電力会社まかせで、住民対策は含まれていません。「防災対策」も、放射能を対象とする原子力災害対策として、独自に取り扱う構えがないために、実効性が乏しいものです。現行の「防災対策」の拡充・強化と合わせて、原子力災害対策特別措置法の制定をはじめ、原子力災害対策の独自の確立が求められます。

 安全を犠牲に目に見えるコストダウンをめざす超大型新型炉の新増設は、日本の原発の危険を増幅するものであり断固反対します。

 これら、日本の原子力政策の安全優先への根本的転換を実行するために、新しい安全規制機関の創設を要求します。

 

 私たちは、この東海集会を契機として、これらの要求にもとづく共同行動を、全国各地でひろげていきたいと考えています。これらの要求は、原子力掩設の所在地のみなさん、全国のみなさんと共通する要求であると確信します。思想信条の遠いを超え、原発の一般的是非についての意見の違いを超えて、これらの共同行動への参加を心から呼びかけるものです。これら共同行動を前進させることが、目本の原子力政策の抜本的な見直しを実現するカです。ともにがんばりましよう。

 

1997年8月24四日

「動燃事敵と目本の原子力攻策を考える」全国抗議集会