1997年10月
原発反対三重県民会議
会長 神阪博通(三重大学教授)
申し入れ
先般、私たち原発反対三重県民会議の「原発立地関連予算と施策に関するアンケート」にご多忙中にもかかわらずご協力いただきありがとうございました。別紙のように結果をとりまとめましたので、ご参考に添付致します。
さて、3月県議会で「『芦浜原発達設計計画の冷却期間をもうけ早期決着』を求める請願」が全会一致採択されました。請願書は、「南島町の34年間の永きにわたる苦悩の歴史で、人間相互間の不信感を募らせ、地域破壊を呈し、肝心の地域社会が今なお深刻な状況を続けている実態を理解いただき」と訴え、芦浜原発問題の早期決着を求めております。
最近、東海再処理工場、「もんじゅ」「ふげん」と相次ぐ動燃事故、「日立」のデータねつ造によって日本の原子力政策と管理はその根本を間われております。芦浜に、当初2基の立地を予定する「改良型」沸騰水型135万キロワットの超大型原発は、安全性を犠牲にし大幅なコストダウンを図ったもので、東京電力柏崎刈羽の同型機(6,7号炉)はトラブルが続出するなど、原発への不安はひろがるばかりです。昨年81万人の芦浜原発反対の署名がよせられたことをみても、芦浜原発立地への住民の合意はもはや困難なことは明白であり、行政当局としてもエンドレスに原発立地施策を続げず、今回の「冷却期間」入りを機に見直しが求められているのではないでしょうか。
もともと、国の補助金を受けて行われている原発立地関連事業は、自治体の意思にもとづく申請によるものであり、通産省資源エネルギー庁も「『冷却期間』を尊重する」「来年度予算については、三重県が予算を要求してきた時点で検討する」と述べています(7月22日、日本共産党の政府交渉)。
しかし、県は原発立地予算の温存をはかっています。「エネルギー間題詞査会」の設置を口実に「広報・安全対策交付金」を充てていますが、来年度以降も同様にしようとしております。「広報・安全対策交付金」による事業とは、「原子力発電に関する知識の普及、当該地域の住民の安全に関する調査」(交付金規則第3条)の枠内で行なわれるものです。「調査会」には、地元関係者からも「人権侵害の話がない、地域を混乱さ世た実情を調査すべきだ」との声があがっております。
また、県当局は自らを「中立の立場」と強調しますが、「(県のいう)『中立』とは主体性のないこと」「『推進』ではなく『中立』の原発関連予算があり、『推進』の先進地視察はなく、『中立』の先進地視察はある、というのは、まやかしの言葉だろう」とマスコミも指摘しています(『伊勢』9月17日)。
私たちは、県当局にたいして「冷却期間」を求めた請願の趣旨にたって、地元の人権侵害、地域社会の混乱・破壊の実情調査を第一義的におこなうとともに、原発関連予算と事業の「凍結」(今年度)、来年度は計上しないことを申し入れました。
つきましては、貴職におかれては諸事情により原発立地関連補助金による事業を行われてこられたと拝察いたしますが、「冷却期間」にいたりました事情をお汲みとりくださり、下記の通り要望いたします。
記
1.原発立地関連事業を凍結、中止され、来年度予算には計上されないこと。
以上
連絡先 〒514
津市相生町 三重県部落解放合会気付
原発反対三重県民会議
電話 (059)225−3146
ファクス(059)225−3401
原発立地事業やめて
南勢、度会、大宮町に申入れ
三重県民会議
原発反対三重県民会議の代表は 10月7日 、芦浜原発立地関連補助金で原発視察旅行などの事業をおこなっている七町村のうち、度会郡の南勢、度会、大宮の三町役場を訪ね「原発立地関連事業を中止し、来年度予算には計上しない」よう申し入れ懇談しました。
南勢町の世古好弘町長 は「財政難のなかで補助金はもらうということで、この補助金ももらい、区長さんへのお礼という気持ちで旅行をおこなってきた。外からの力(芦浜原発計画)で混乱させられている南島町は気の毒だ。申し入れは真しに愛けとめ、近隣町村の状況も見て検討する」とのべました。
度会町の登警三雄企両課長 は「来年度予算については関係町村が集まって相談できるようにしてほしいと県に申し入れている。補助金はおねだりするつもりはない。」などと話しました。
大宮町では梅田重次助役 らが応対し「(原発)賛成、反対という以前に勉強してもらうということで、難く考えて視察希望者を募ってきた。南島町に迷惑をかけているなら考えなければならないと思う」とのべました。
原発反対県民会議の長井務事務局長は「三町の幹部から、相次ぐ動燃事故の続発など政府の原子力政策への不信、芦浜立地活動により地域社会が混乱せられた南島町への同情の声が強く出され予断はできませんが各町の原発関連事業の見直しへの気持ちもうかがえました」と話していました。
税金のムダ使い
原発視察中止を
三重県民会議が自治体に申し入れ
原発反対三重県民会議は、 10月14日 、芦浜原発立地関連補助金で原発視察などの事業をしている七町村の内、北牟婁郡紀伊長島町、度会郡の大内山村、紀勢町の役場を訪ね、「原発立地関連事業を中止し、来年度予算には計上しない」よう申し入れました。
紀伊長島町の和平甚明助役 らは「芦浜原発に反対する町長の政治姿勢もあって、原発視察は職員を対象に庁内に限定している。何に使うか補助金に頭を悩ます」といっていました。 大内山村の中桐昭治助役 は「原発の祝祭旅行をやめてもそう影響はない。うちだけ補助金を拒否するわけにはいかないというのが町村側の本音」などと語りました。
芦浜原発立地予定町として九七年度も七千九百万円の補助金を受けている紀勢町では、申し入れに参加した町民が「旅行に何回も参加し、もういくところがないという人もいる。遊びのつもりの人も多く、税金のムダ遺いだ」と指摘。 紀勢町の西村賢吾収入役 らは「参加費は無料で各種団体に募集、一回三、四十人程度、多い年は八〜九回、ふつう七〜八回程度、視察旅行をやってきた」と話しました。
その後、県民会議の一行は南島町役場を表敬訪間し懇談。清水初音助役は、八十一万戸浜原発反対署名などへの県民の支援に感謝を表明するとともに「(一九九九年末までの)芦浜立地『冷却期間』中に体力をつけて白紙撤回させたい」と話しました。