「げんぱつ」原発住民運動情報より転載(103号、97/10/25)

動燃のずさんな管理

ウラン鉱石などごみ扱い

50tと残さいをともに埋設

 動力炉・核燃料開発事業団(動燃)は10月3日、放射性物質の漏えいが起きている東海事業所のウラン廃棄物貯蔵施設付近など2個所に、精錬されずに残った鉱石約50トンが埋設されていることを明らかにしました。9月に実施したボーリング調査をもとに、周辺環境への影響がないか確認しています。 動燃によると、前身の原子燃料公社東海製錬所は1969年までに、約1000トンのウラン鉱石を受け入れ、そのうち約950トンを精錬。残りの鉱石52.6トンは、精錬の過程でできた残さいなどとともに、ウラン廃棄物貯蔵施設付近と試験棟跡の地中に埋設したといいます。

 貯蔵施設問題で環境調査をしている科学技術庁のデータ評価委員会(市川龍資主査)は、施設周辺の地表から採取した土壌から、通常の土壌に比べ最高で100倍程度のウラン濃度が測定されたことを確認しており、埋設されたウラン鉱石との関連を調べています。

 ウラン鉱石やウラン廃棄物を「低レベル廃棄物」として、一般廃棄物並に処分することは許されません。ウランは放射能の半減期が数億年単位で、放出されるα線は、肺がんなどの原因ともなります。処分する際は、ドラム管に詰めて、記録を残し、管理責任を明確にして保管すべきです。

動燃 事故から半年もたって

セル内に「空気が逆流していた」

 科学技術庁の動燃再処理工場火災・爆発事故調査委員会は10月2日、第25回会合を開催。事故から半年以上も経ってから、動燃が「火災を起こしたセル内に、槽類換気系から空気が流れ込んだ」と説明したことに、委員から強い批判が出されました。

 これまで動燃は、セル内(最初に火災が起こったアスファルト充てん室内などのこと)換気系のフィルターが目づまりしたため、部屋の換気がおこなわれなくなったとだけ説明し、槽類換気系が動いていたことには触れませんでした。

 槽類換気系は、セル換気系と途中で結びついています。今回、動燃はセル換気系のフィルターが目づまりしたため、逆流して槽類換気系から部屋の中に毎時100立方炉の空気が流れ込んだと説明しました。

大阪 処分はストップ 再処理は止めよ

原子力委員会主催の「高レベル廃棄物処分への「意見交換金」の第1回会合が9月19日、大阪で開かれました。住民代表から「原発を作って30年経って、今更処分間題を急ぐのはおかしい。関係者の責任はどうなる」、「動燃が組織替えして今後の研究の中心になる計画だが、動燃の推進体制は腐っている」、「寿命の長い核種を消滅させる技術開発を」、「立地決定は『地域の同意を必要とする』とすべきだ」「高レベル廃棄物をストップし、再処理を止めてもらいたい」…の意見が出されました。