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1-1 調査の目的
ここでは,香芝高架橋周辺における,住宅などの建物に対する被害実態について調査し,その原因について分析することを目的とする。
調査内容は次のとおりである。
(1)壁のひび割れ,建物や建具のゆがみ,屋根瓦のずれ,基礎と土台の間のずれなど,建物の被害が存在するか否か。
(2)建物に振動的な外力が作用しているか否かを知るために,「窓や戸が風もないのに,ガタガタ揺れることがあるか」,「建物の中で揺れを感じるか」などについて調査する。
(3)砂ぼこりや粉じんの降下,テレビの電波障害など日常生活に支障をこうむる被害が発生しているか否かについても,補足的に調査する。
1-2 調査の方法
1-2-1 本調査
本調査は,住民に対して,次のようなアンケート調査を実施した。
1)アンケート調査の内容…前節1-1参照
2)調査対象の設定…香芝高架橋から南と北,それぞれ約400mの範囲(今泉地区の一部,上 中地区の一部)に含まれる住家すべてを対象とした(図4-1参照)。
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図4-1 調査対象地域 |
3)調査期間 1982年3月29〜31日
4)配票数 160票
5)回収数…122票(回収率76%)
6)配票方法…各戸を戸別に訪問して説明
7)記入方法…留置自記式(当日あるいは数日後に回収)
1-2-2 予備調査
上記のアンケート調査に先だって,次のような予備調査を行った。
1)先行調査の検討…1981年(昭和56)
5月に地元医師団が行った健康等の被害調査(建物被害も含む)の調査結果を検討し,どのような建物被害があるか,その概要を把握した。
2)現地におけるヒアリングおよび観察調査…1981年夏から秋にかけて,香芝高架橋周辺の住家を数十戸訪問して,住民から住宅の被害についてヒアリングし,破損箇所を観察した。
(注) アンケート調査の長所短所…ヒアリングにもとづいて,住民の指摘する建物の損傷箇所を,我々が観察したところ,屋根瓦のずれなど,容易に近づけないところでは,住民の指摘した損傷が認められない箇所もあったが,大部分は住民の指摘した箇所には,大なり小なり損傷が認められた。
また,住民は,屋根瓦がずれてくる,釘がゆるんでくる,大谷石のブ口ック塀が抜け落ちる,外壁が剥離して落下する,棚の上の物が移動するなど,比較的短期間(1〜数年)で進行する現象をつかんでいた。
以上の結果から,限界はあるが,住民にアンケート調査を行い,住民の日常的体験を集約して,統計的に整理することは,十分意味があると判断した。また,アンケート調査によって,調査対象を多くすれば,個人差も平均化される。
なお,往宅の損傷に物理的基準を設け,それにもとづいて観察や測定を行うことも必要であるが,諸般の事情から実施することができず,今後の課題として残されている。今回のアンケート調査の結果は,そのために大いに役立つと思われる。
1-3 調査対象の属性
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表4-1 建物の概要
(注1) 鉄骨造2件,プレハブ2件 (注2) コンクリート系9件,スレート1件 (注3) 21年以上の建物の年数をすべて示すと,24年,24年,30年,30年,35年,40年,50年,50年,51年,70年,90年となる。 |
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アンケート調査の結果から,調査対象の建物の属性整理すると表4-1のようになる。
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図4-2 建物の建築後の年数 |
建物の損傷は,建物の経年劣化(老朽化)と大きな関係があるので,以下の分析に先だって,建物の建築後の年数の分布を地図上に示すと,図4-2のようになる。この図をもとに,香芝高架橋からの距離によって,地域を分け,その地域内にある建物のうち,建築後11年以上経過している建物の割合を調べると。表4-2のようになる。この表から,地域によって,建物の経年数には幾分差がある(0〜100mと300〜400mの地域の経年年数が大きい)が,極端な差はみられないことがわかる。
| 地域分け
香芝高架橋からの距離による |
@ 建築後10年以内の建物の件数 | A 建築後11年以上の建物の件数 | B 古い建物の割合
B=A/(@+A) |
備考
年数不明の件数 |
| 0〜100m | 10 | 31 | 75.6% | 3 |
| 100〜200m | 13 | 18 | 58.1% | 1 |
| 200〜300m | 10 | 16 | 61.5% | 1 |
| 300〜400m | 1 | 7 | 87.5% | 2 |
| 400〜500m | 1 | 3 | 75.0% | 0 |
表4-2 建物の老朽化の分布