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建物被害の実態調査の結果,わかったことをまとめると,次のようになる。
(1) 田西名阪自動車道香芝高架橋の周辺には,従来,指摘されてきた騒音や超低周波音による健康被害のほかにも,建物被害や生活に支障をこうむる被害(砂ぼこり,テレビ電波障害など)が発生している。つまり,超低周波音による健康被害が中心であるが,総合的な被害が発生している。
(2) 建物被害の範囲は,裁判の原告住民だけでなく,周辺住民の家屋にも及んでいるが,この問題は社会問題としてほとんどとり上げられていない。
(3) 建物被害の実態について,本章でわかったことをまとめると,第一に,建物被害の発生率は香芝高架橋に近いところ(約100m),あるいは,旧県道に接しているところに多く,その両方に近いところでは,極めて多くなる。逆に,両方から離れた地域では,被害は,大幅に少なくなる。
なお,香芝高架橋や旧県道に近い地域の建物と両者から遠い地域の建物では,建物の老朽度(建築後の年数)に大きな差はない(表4-10参照)。つまり, 被害の差は,建物の老朽度や経年劣化による差ではない。
表4-10 建物の新旧 |
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第二に,調査対象区域では,窓や戸などの建具だけでなく,建物自体が振動をしている。
この建物振動の発生率の分布は,建物被害と同様に,香芝高架橋や旧県道からの距離が近いほど多い。
第三に,振動している建物は,振動していない建物に比べて格段に,建物被害の発生率が高い。
第一,第二,第三の三点から,香芝高架橋から発生する振動エネルギーが,建物を振動せしめ,その振動が建物を損傷せしめていることは,ほぼ間違いないと推定される。もちろん,旧県道に接しているところでは,香芝高架橋による被害に加えて,旧県道から発生する振動エネルギーが建物を振動せしめ,その振動が建物を損傷せしめていると推定される。
(4) 香芝高架橋から発生する振動エネルギーとして考えられるのは,地盤振動と,低周波空気振動(低周波音)の二つだけであり,この他には,ほとんど考えられない。旧県道から発生する振動エネルギーとしては,地盤振動が主であり,低周波空気振動の比重は小さいと推定される。