5-3 木造住宅に防音工事を施した場合の低周波音の遮音効果

 騒音防止のために住宅に防音工事を施した場合,低周波音を遮音する効果があるか否かを調べるために,兵庫県内の国道43号線沿いの住宅で測定を行った。この住宅には,道路に面する壁や窓に対してだけ防音工事が施されているが,道路と反対側にある壁,窓,屋根には,防音工事は何ら施されていない。

図3-27 防音工事を施した木造住戸での測定値

(兵庫県内の阪神高速高架橋沿線)

 図3-27は,既存のアルミサッシ(ガラス厚3o)の外側に,さらにサッシを取りつけ,二重窓にして防音した場合の屋外と室内の測定結果である。この図によれば,30Hzをこえる周波数帯域では,遮音効果がみられるが,それ以下の周波数では,屋外と室内の音圧レベルはほとんど変らず,遮音効果はほとんどないと言えよう。

図3-28 木造住戸での測定値

(兵庫県内の阪神高速架橋沿線)

 また,図3-28も阪神高速道路周辺の測定であるが,C氏宅にのみ防音工事が施されている。ここでも,20Hz以上の周波数帯域では,C氏宅の減衰がとくに大きいが,10Hz以下では,遮音効果がみられないことがわかる。

 つまり,一般騒音防止のための防音工事を施しても,10Hz以下の低周波音を遮音する効果はほとんどないといえよう。