4-4 高架橋以外の発生源による低周波音

図3-23 高架橋以外の発生源による低周波音

(31.5Hzが距離減衰を示していない。)

 香芝における低周波音が高架橋の振動により発生しているごとはこれまでに述べたが,高架橋以外の発生源によると思われる低周波音も一度だけではあるが観測された。図3-23は高架橋からの距離の異なった4地点(図3-3の1◎,2◎,3◎に100m地点を加えたもの)で同時測定をおこなったものである。この図では31.5Hzが距離減衰を示さず,25m〜100mの間であまりレベルが変わっていない(むしろ100m地点 の方が高い)ことがわかる。他の周波数では概ね距離が離れるほどレベルが低下しており,この部分については高架橋からの低周波音と考えて良いであろう。 50m,100m地点では,この,高架橋以外の音源によると思われる31.5 Hzが最もレベルが高い周波数帯域となっているが,直下及び25m地点では高架橋に起因すると思われる他の周波数成分が卓越している。図3-24は上と同じデータを三次元表示したものであるが,50m,100m地点では31.5Hzは変動が少なく,ほとんど定常的であり,高架橋から発生する低周波音の時間的変動とは全く異なった特徴を示している。この31.5Hzの低周波音の発生源としては付近の工場などがまず疑われる。

図3-24 高架橋以外の発生源による低周波音

(50m、100m地点では、31.5Hzに定常的な低周波音が見られる)

 香芝での被害の原因として,この31.5Hzの低周波音の寄与が問題となる。この31.5Hzの低周波音による被害が無いとはもちろん言うことはできないが,高架橋からの低周波音に比較して2次的な重要性しか持たないと考える。その理由としては

 @高架橋に近い所(図3-23では少なくとも25m地点までは)では高架橋からの低周波音が優勢であること。これは,他の多くの機関による測定が,香芝における低周波音の時間的変動を認めていることからも明らかである。(もし,この31.5Hzの低周波音が優勢であれば,香芝における低周波音は,ほとんど定常的なものとして観測されるはずである。)

 A発生時間が短いと思われること。我々は香芝で数回の測定を行なったが,この低周波音をとらえたのは図3-22に示した1回のみである。翌日の測定(図3-6,および図3-7)ではこの低周波音 はあらわれていない。また,この低周波音の発生源が付近の工場であるとすれば,夜間は発生しないと考えられる。