第3節 香芝高架橋周辺における低周波音の発生と伝播

3-1 香芝高架橋周辺における低周波音の大まかな特徴

 香芝において低周波音の測定をすれば,次の点は詳しい分析を待つまでもなく明らかである。

  1. (変動のようす)香芝で観測される低周波音は時間とともに激しく変動する。レベルが高くなるのは高架橋上を車が通過するときである。
  2. (音圧レベル)特にレベルが高いのは大型車の通過時で90dB以上になることもある。
  3. (周波数成分)特にレベルが高い場合の主要な周波数成分は5Hz付近である。
  4. (空間的分布)低周波音の音圧レベルは高架橋の近くでは高く,離れた所では低い。

 これら香芝における低周波音の,時間的・空間的・周波数的な特徴について以下に述べる。なお,低周波音の発生のしかたについては第4節で詳しく論じているが,とりあえず本節では高架橋より低周波音が発生していると仮定して議論を進めることにする。

3-2 低周波音の時間的変動

(a)

(b)

図3-4 低周波音の時間的変動(呑山宅軒下での測定値)

 香芝高架橋周辺での低周波音の音圧レベルの変動を示したものが図3-4(a)である。オールパス(2〜63Hz )の音圧レベルは激しく変動していることがわかる。特に大型車通過時には90数dBに達することもあるが,車の通過がとぎれた時などは80dB以下に下がっている。図3-4(b)は上と同じデータを1/3オクターブ分析(付録1-(5))して,中心周波数5Hzと31.5Hzの帯域のレベル変動を示したものである。 5Hkの帯域は変動が激しく(50〜92dB),31.5Hzの帯域はそれに比較して変動の巾が小さい(63〜85dB)ことがわかる。オールパスの音圧レベルが特に高くな゛った場合には,5Hzの帯域のレベルもほとんど同じレベルまで上がっており,音圧レベル上昇時の主要な周波数成分が5Hkであることを示唆している。図3-5はレベルレコーダーにより,低周波音の音圧レベルの記録を夜間連続でおこなったものである。この就寝時間のどの時間帯においても80dBを超えるピーク値が観測されている。

図3-5 音圧レベルの時間変動(香芝町今泉公民館内)

(23時40分〜8時の測定。オールパス。
ペンスピード FAST 紙送り 0.03mm/S
ピーク時の変動はあまり見られない)

 変動騒音の場合には,騒音レベル測定方法の旧JISでは,中央値および90%レンジの上端値・下端値で表示することになっていた (新JISでは等価騒音レベルが中心に据えられ,従来の方法も認めている)。(これらの用語については付録1-(4)を参照の事)。低周波音の測定方法のJISは今の所ないが,騒音レベル測定方法に準じて表示がなされる場合が多い。図3-6は奈良県当局(53年4月)による低周波音の測定値を示したもので,24時間にわたって30分毎に中央値・90%レンジ上端値・下端値を求めている。ほとんどの時間帯で90%レンジ上端値は80dBを超えていることが図より明らかである。