3-5 低周波音の住宅内への侵入

 低周波音が住宅の内部へどのように侵入しているのかを明らかにするため,香芝高架橋に隣接する呑山氏宅(図3-3に表示)において,屋外と室内の音圧レベルを同時に測定した。図3-11は住戸平面図とマイクロホン,振動ビックアップの配置図である。

 

図3-11(a) マイクロホン設置図

1階

2階

図3-11(b) 住戸平面図

 この住宅は高架橋が敷地の一部にかかっており,家屋と高架橋の距離は最も近いところでは,水平距離で2〜3mしかない。

 図3-12は,軒下(屋外)および各部屋(室内)のスペクトルを示したものである。細い線は,図3-7の場合と同じように,軒下でオールパスの音圧レベルが最も大きくなった時刻を10個選び,その時刻のスペクトルを示したものであり,太線はその10個のスペクトルの平均値である。屋外と室内の音圧レベルは,どちらも5Hzに卓越した成分があり,90dBを越える場合もある。

 さて,図3-12において,軒下(屋外)と各部屋(室内)のスペクトルを比較すると,20Hz以下の周波数帯域では,スペクトルがよく似ていることがわかる。これは,20Hz以下の音が,そのまま室内に侵入していることを示している。この問題を深めるために,同一時刻の屋外と室内の音圧レベルを比較しやすいように1枚の図にまとめたものが,図3-13である。

 この図は左側には前記の最も大きい10個の平均スペクトルを示し,右側には,各周波数帯域のエネルギー平均値(Leg)を示している。

 図3-13によれば,10Hz以下では,屋外と室内の差があまりみられないのに対して,10Hzを越える周波数帯域では,ほとんどの場合室内の音圧レベルは,屋外に比べて,いく分低くなっている。この点をさらにはっきりさせるために,軒下(屋外)の音圧レベルに比べて,室内の音圧レベルが何dB大きいかを表示したものが図3-14である。

 (軒下の音圧レベルを基準(0dB)としてある。すなわち,0dBの線よりも上にあれば室内り方が軒下よりも音圧レベルが高く,下にあれば低い。)図3-14には開口部の開閉による違いも示してあるが,これはすぐあとで検討する。図3-14によれば,30〜63Hzの周波数帯域の低周波音は,屋外と室内では,かなり差があるのに対して,10Hz以下の低周波音では屋外と室内の差が小さいことが歴然としている。これは,数十Hzの低周波音は室内ではかなり小さくなるが,10Hz以下の低周波音の場合には室内でも屋外と大して変らないレベルの音圧にさらされていることを意味する。

 ところで,屋外から室内への音の侵入は,窓や戸などの開口部の開閉条件によって変わると考えられる。その点を図3-14を用いて検討すると,応接室と2階北西室では,開閉による影響がいくぶんでているが,東室,南室,南廊下ではほとんど差がない。浴室では,10Hz以下では差がなく,31.5Hz以上にならないと窓を閉めた効果はでてこない。また浴室では10〜30Hzにおいて,軒下よりもいくぶん高い値を示している。