4-3 地上の道路周辺の低周波音
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写真3-6 分川池付近の測定状況 |
香芝高架橋から発生する低周波音が橋梁自体の振動によるものか,それ以外の原因(自動車の走行音やエンジン音)かを検討するために,西名阪自動車道の盛土式p道路周辺で低周波音を測定した。測定地点は,香芝高架橋のすぐ近くにある分川池付近であり,交通条件は高芝高架橋とほとんど変らないと思われる。図3-20は測定結果であるが,道路の端(写真3-6)とそこから15m離れた地点の2点にマイクロホンを設置して測定した。図3-20によれば道路端において10Hz以下のレベルが高いようにみえるが,少し離れた151地点ではその周波数帯域でのレベルは低い。このことから道路端のマイクロホンは自動車走行にともなう風の影響を受けているものと思われる。
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図3-20 盛土部周辺の低周波音 車の走行に伴う風の影響を受けない程度に離れれば、低周波音の音圧レベルは低い。 |
結局,ここ(盛土部)では15m離れた地点に影響を及ぼすような高いレベルの低周波音は発生していないと考えるのが正しいであろう。
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図3-21 阪神高速からの距離減衰 (大阪府松原大堀町) |
図3-21は,大阪府松原市大堀町地内を通る阪神高速道路高架橋の低周波音の距離減衰を調べたものである。ここで,K氏宅門内の測定位置(高架橋からは最も離れた測定点4)には板塀1枚をへだてて,交通量の多い一般道路が通っており,測定中も大型車が走行していた。それにもかかわらず,3Hzの周波数帯域のピーク値は,阪神高速道路からの距離に応じた減衰を示している。つまり,そのような低い周波数では高架橋からの低周波音が支配的であり,一般道路からの影響は無視できる。測定点4は道路に非常に近いこともあり,車のエンジン音と考えられる20Hz以上では高い値を示しているが,少し離れた測定点3ではその影響はほとんど表われていない。
高架開通時の1/3オクターブバンド周波数分析 | 高架未開通時の1/3オクターブバンド周波数分析 |
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1/3オクターブバンド中心周波数(Hz) | 1/3オクターブバンド中心周波数(Hz) |
図3-22 高架橋開通前後の音圧レベルの変化(大阪大・山田国広による)
開通後は20Hz以下での音圧レベルの上昇が著しい。4Hzに顕著なピークを示すようになった。 |
図3-22は,阪神高速道路の高架橋(一般道路の上に重なる形)が開通する前と後で2〜500Hzの音のスペクトルがどう変化するかを調べたものである(大阪大,山田国広氏による)。この図によれば,開通前(一般道路のみの場合)には,2〜5Hzの低周波音の音圧レベルは低かったが,高架橋の開通後には著しく増大している。
以上,盛土部や一般道路では高い音圧レベルの低周波音(特に数Hz付近)は発生してないことを示した。