3-4 屋根瓦のずれおよび釘のゆるみ

 現地でヒアリング調査する中で,香芝高架橋に近接している住戸の人から,「屋根瓦がずれて困っている」と訴えがあった。

 屋根瓦は,斜面にのせられており,完全に固定されていないので,老朽化によっても,建物が振動をうけることによっても,ずれ下る可能性はある。

グラフ4-11 屋根の瓦のずれ

 屋根瓦のある建物について調査した結果を,グラフ4-11に示すが,屋根瓦のずれている建物は,78戸中20戸であり,うち10戸は,「ずれてきたので,もどしたが,またずれている」と回答しており,屋根瓦のずれの中には,進行性のものもあることがわかる。

図4-10 屋根瓦のずれ

 図4-10は,屋根瓦のずれが発生している建物の分布を地図上に示したものであるが,高架橋から100mの範囲内では被害が多いが,100mを越えると,被害は急減していることがよくわかる。また,進行性の屋根瓦のずれは,香芝高架橋から100m以内離れたところでは,旧県道沿いに発生しているだけである。

 つまり,前節で示したA,B,C地域で被害が発生しているが,D地域では被害は,ほとんど発生していない。 

表4-12 屋根瓦のずれと建物の新旧

建築後の年数 屋根瓦のずれの程度 瓦のずれのある建物の割合

(@+A)/(@+A+B)

@ もどしてもまたずれる A ずれている B ずれていない
新 0〜10年 0 2 18 10%
旧 11年〜 7 5 16 42%

(注)瓦のずれや建築後の年数が不明のものは除外した

なお、建物の新旧と屋根瓦のずれの関係をみると表4-12に示すように,建築後10年以内の建物では屋根瓦のずれの発生率は少なく,建築後11年以上の建物に発生率が多い。

 以上をまとめると,A,B,C地域にある建物のうち,建築後11年以上の建物に屋根瓦のずれが発生しており,建築後10年以内の建物には,被害はほとんど発生していないと言えよう。言いかえれば,香芝高架橋や旧県道は,建築後10年以内の建物には,被害を与えないが,11年以上の建物には,屋根瓦のずれという被害を与えている。

(注1) 釘のゆるみ

  「釘のゆるみ」について調査した結果を,表4-13に示すが釘がゆるんでいる住戸は,9戸であり,うち,6戸は,「ゆるんできたので打ちつけたが,またゆるんできた」と回答しており,「釘のゆるみが進行していることを示している。

 釘のゆるむ原因は,以下の二つと推定される。

@道路を通行する車により,建物が振動するため

A風雨,日射によって,釘ど下地が伸縮するため

 又は,釘が錆びてボ口ボ口になり,抜けて くるため

図4-11 釘のゆるみ

(注) 屋根瓦のある建物のみを対象とした

 釘のゆるみの発生住戸の分布を調べると,図4-11のようになり,香芝高架橋から200m以上離れた地域では発生していないことが注目される。ただし,0〜100mと100〜200mの地域を比べると,表4-14のように釘のゆるみの発生している住戸の割合はほとんど差がない。他の建物被害については,0〜100mと100〜200mの地域では,被害にかなり差があることからみれば,釘のゆるみの原因が,必ずしも,香芝高架橋や旧県道にあるということはできない。

表4-14 釘のゆるみと香芝高架橋からの距離

距離 釘のゆるみ
あり なし
0〜100m 5(16.1%) 26 31
100〜200m 3(17.6%) 14 17

( )内は,釘のゆるみのある建物の割合