第2節 調査結果の分析の方法

2-1 被害内容の分析

 被害の内容は,次の三つに分けて実態を把握する。

@建物の損傷(いたみ)が存在するか否か

A建物が振動するという現象を住民が体験しているかどうか。これは,建物の損傷の原因が,建物が振動させられていることに起因するのか否かを検討するためである。

B建物の損傷や健康被害のほかに、日常生活に支障を与える被害が存在するか否か


2-2 被害原因の分析

 次に,上記の建物のいたみの原因としては,以下の二つが考えられるが,どれが主要な原因であるかを検討する。

(イ) 風雨寒暖乾湿などによる建物の経年劣化(老朽化)

(ロ) 香芝高架橋および一般道路を車が走行することによって地盤振動や,低周波音が生じるが,それによってひきおこされる建物の振動(注1)。

 なお,振動的外力の発生源となる道路は,次の三つに分類して考えることにする。

1)香芝高架橋…西名阪自動車道の一部

図4-3 道路の模式図

2)旧県道…県道大和高田王寺線(現国道168号線)およびこれと香芝インターチェンジを結ぶ町道をまとめて,旧県道と呼ぶことにする(図4-3)。香芝インターチェンジから出入りする大型トラックは,この旧県道を通ることが多く,騒音や振動の発生源になっている。これは,西名阪自動車道のもたらす間接的公害と言えよう。とりわけ,香芝インターチェンジの料金所が数年前に廃止されてから,旧県道の大型トラックの交通量は急増している点に注目すべきである。

3)一般道路…上記以外の道路

 さて,建物のいたみの原因のうち,(イ)については,香芝高架橋周辺でなくても,どこの地域でもみられる原因である。よって,この調査では,(イ)を原因とする建物のいたみが存在することを前提にして,それに加えて,(ロ)を原因とする建物のいたみが発生しているのか否かを検討することが主題となる。言いかえれば。(イ)と(ロ)では,どちらが主要な原因であるのかを検討することが主題となる。

 (ロ)を原因とする被害は,建物の地盤や地盤振動,および超低周波音の伝わり方の違いによって,被害の程度に差がでるが,香芝高架橋や県道から距離的に離れれば,被害は小さくなるはずである。従って,香芝高架橋や旧県道に近いところほど,建物被害が多くなるか否かを検討することが,中心になる。

 なお,1-3節で述べたように,香芝高架橋に近いところほど,古い建物が多いという事実はない。また,数百メートルの範囲内では,気候条件にはほとんど差はない。

 以上の二点から,もし,香芝高架橋や旧県道に近いほど,建物被害が大であれば,(ロ)が主要な原因であると推定せざるをえないし,また,(ロ)が原因ではないと証明することは,極めて難かしくなる。

注1 建物に振動を与える外力としては,次の二つが考えられる。

 ひとつは,香芝高架橋および旧県道を走行する車によって生じる地盤振動である。

 もうひとつは,香芝高架橋から発生する低周波音(空気の圧力変動,音圧の変動)である。この空気圧の変動は,建物の外壁,屋根,戸など建物の外面に作用して建物を直接的に振動させる。また,空気圧の変動によって,窓や戸はガタガタと振動するが,この振動的衝撃が建物を振動させる。その意味で,これは間接的振動あるいは二次的振動と呼んでもよい。

 上記のうち,ひとつめの地盤振動が多かれ少かれ存在することは自明である。また,ふたつめの低音の発生は,前章で実証されている。低周波により,窓や戸がガタガタと振動することも。従来の研究(付録参照)によって実証されている。さらに,香芝高架橋のすぐ近くの住宅が振動していることも,前章で実証されている。

 従って,この章で問題にすることは,上記二種類の振動によって,建物被害が生じているか否か,それらは香芝高架橋や県道と関係があるか否かである。ただし,この二種類のうち,どちらの寄与率が大きいのかを区別することは,本アンケート調査では,できない。