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5-1 これまでの研究
低周波音の人体への影響を調べた内外の研究のうち、代表的なものをいくつか下に示す。
(イ)Johnsonは20Hz、144dB、8分間の暴露で健康な被験者は安全であったとしている@。
(ロ)42才の男性に7.5Hz、130dB、50分間暴露でもささいな影響しかない。 120dB以下では全く影響は認められないA。
(ハ)非常に強い低周波音に暴露すると中耳に損傷を示すB。
(ニ)低周波音の生体影響としては前庭眼筋反応、前庭自律神経反射、前庭脊髄反射等が指摘されているが、これらも7.5Hz、30dB、50分あるいは1.6〜4Hz、120〜150dBなどという条件下で実験がおこなわれている。
(ホ)交通医学財団は昭和53年度に環境庁からの委託により実験をおこなっている。8〜60Hz、120dB、1時間の暴露では、脈拍、血圧には特に変化はなく、眼振も起らないが、呼吸のリズムは乱れてくるとされている。この報告では過労を訴える人では、まばたきと眼振があらわれ、また感冒に羅患した人では悪心・おう吐があらわれたので、実験を中止せざるを得なかったという興味ある知見を得ている B。
以上のように実験的な研究はすべて高音圧レベル・短時間の暴露であり、我が国で公害問題としてとりあげられている場合の比較的低レベルでの長期間暴露という条件での影響についてはほとんど未解明のまま残されている。しかし、低周波音公害が起こっているとされる現場での苦情で多くあらわれる健康被害は一定の特徴を示しており、低周波音被害であるかどうかの判断をする場合の一応のよりどころとなり得ると思われる。
時田は低周波音に関する苦情内容を以下のように分類しているC。
@建具類の動き:家具、建具がゆれ、ときには衝突による2次音を発生する。
A物的被害:励起振動による建物の破壊、屋根瓦などのずれ。
B心理的被害:睡眠、読書、考えごとが妨害される。いらいらする。
C生理的被害:吐き気、息苦しい、頭痛、鼻血、耳鳴りなど。
この中で健康被害とみなせるものはBとCである。
汐見も低周波音による被害を受けている地域で多く見られる症状の特徴をまとめているD(付録2章3節参照)。