3-3 低周波音の周波数特性(スペクトル)

図3-6 低周波音の日周期の変動 (奈良県当局による測定)

 

 反射・回折等の影響を避けるため,建物などの障害物のない地点(図3−3に1◎

写真3-4 香芝高架橋周辺の低周波音の測定

〜3◎で表示)を選んで低周波音を測定し(写真3-4),それを1/3オクタープ分析(付録1-(5)参照)したものを図3-7に示す。本報告では低周波音の周波数の範囲は2〜63Hzに限っている(付録2-(1)参照)。この図に示した細線10本は,高架橋直下地点のオールパス(2〜63Hz帯域)の音圧レベルが最も高くなっている時刻を10個選び,その時刻における3地点の低周波音のスペクトルを示したものである。この10個のスペクトルの平均のスペクトルは太線で表示してある。ピーク時のスペクトルは,直下では5Hz付近に卓越した周波数成分があり,そのレベルは90数dBにも達していることがわかる。高架橋からの距離が離れるに従って5Hzの山は急激に減衰し,50m地点では主要な成分は31.5Hz付近である。

 

 

図3-7 香芝高架橋周辺の音圧レベル
細線 直下でのオールパス音圧レベルが最も大きくなっている時刻10個におけるスペクトル
太線 上の平均値
◇印 LEQ値

 (3-2)において香芝における低周波音の時間的変動について述べた時間的な変動の様子は,周波数帯域により異なることが明らかにされた(図3-4)。従って低周波音のスペクトルの形状も時間とともに変化していることが予想される。図3-8は各時刻の低周波音のスペクトルを1秒毎に描いたもので,240秒間のスペクトルの変動が示されている。左端の斜めの線の先端はオールパス(2〜63Hz)の音圧レベルを示すが、このレベルか高い場合には5Hz付近にも比較的高い山が表われている(図3-4(a)も参照されたい)。直下において5Hz付近に目立った山のない比較的平担なスペクトルが見られるのは,オールパスの音圧レベルか低い場合で,この時刻には,25mあるいは50m地点のスペクトルでは,5Hz付近のレベルはより高い周波数帯域よりもレベルが低いことが明らかである(図3-8では水面(60dB)下に沈んでしまっている)。また,図3-8では,5Hzを中心とした帯域は時間的変動が激しく,10数Hz以上の帯域は比較的変動が少ないことか認められる。

図3-8 周波数、音圧レベル、時間の三次元表示
(TH=60dBとあるのは60dBと示すという意味
左端の斜めの線の先端はオールパスの音圧レベルを示す。)

 

図3-3 香芝高架橋周辺図 図3-9 各種の統計量によるスペクトル

 図3-9は,各種の統計量でスペクトルを表示したものである(図3-3に示す住戸の軒下での測定値)。最大値やL5(90%レンジ上端値),Legなどでは5Hzは主要な周波数成分であるが,L50(中央値)ではより高い周波数の寄与か大きい。最大値と最小値との変動の巾は5Hz付近で大きく約40dBもあるか,高い周波数帯域では小さく,31.5Hzでは約20dBである。L50,L95,Legなどについては付録1-(3)を参照のこと。