4-1 建具の振動
前節では,香芝高架橋と旧県道に関係した建物被害があることを実証したが,この節では,建物被害の原因の分析をさらに深めてみよう。建物被害の原因は,第2節で述べたように,建物が振動的外力をうけて振動させられているためであると推定される。
この推定を検証するために,以下では,まず,建物が振動しているのかどうか,その振動は香芝高架橋や旧県道と,どのような関係があるのかを検討する。次に,建物の振動と建物被害の関係を検討する。
表4-15 風もないのに窓や戸がガタガタと |
まず,「風もないのに窓や戸が,ガタガタと音をたてて揺れることがあるか」という質問に対する回答を表4-15に示すが,「よく揺れる(36件)」,「たまに揺れる(18件)」を合わせると,54件となり,標本数(111件)の49%に達する。
図4-12 風もないのに窓や戸がガタガタと音をたてて揺れることがあるか |
「揺れ方」の分布を地図で示すと,図4-12のようになるが,一見して,香芝高架橋に近いほど, 「揺れる」という回答が多いことがわかる。「よく揺れる」又は「たまに揺れることがある」のいずれかに回答した住戸の割合と,香芝高架橋からの距離の関係を,表4-16に示すが,距離が近いほど,「揺れる」という回答が多い。
表4-16 窓や戸がガタガタ揺れる住戸の割合と香芝高橋からの距離の関係
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グラフ4-13 風もないのに窓や戸がガタガタ揺れる割合 |
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図4-14 窓や戸のガタガタ振動 |
また,3-3節で示したA〜Dの4地域に分けて,「窓や戸のがたつき」の発生割合を比較すると,図4-14および表4-17のようになり,A地域(香芝高架橋と旧県道の両方から近い)とD地域(両方から遠い)では,格段の差があることがわかる。
表4-17 窓や戸のガタガタ振動の発生割合
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